=東御廻り=

玉城(たまぐすく)グスク跡


玉城グスク
自然石をくり抜いた印象的な円形の城門、こういう門構えのグスクは他に例がない。

雨つづ天つぎ御嶽 木の階段を昇っていく


沖縄では平成12年12月「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として5つのグスク(首里城、中城城跡、座喜味城跡、勝連城跡、今帰仁城跡)と、その関連遺産の4つが遺物世界遺産に登録されました。沖縄には多くのグスク跡があります。この玉城グスク跡も立派なグスクだったと思われますが、残念ながら世界遺産には、登録されませんでした。

ここは玉城字玉城門原にある城跡です。標高約180メートル、三方が断崖という天然の要塞に築かれています。アマミキヨ(注1)が築いたとも伝えられる古い城跡で、自然石をくりぬいた珍しい城門が東向きに開いています。築城年代は不明ですが、石垣の積み方から約600年前のものと推定されています。 本来は、本丸、二の丸、三の丸からなる大きなグスクだったのですが、沖縄戦で破壊されてしまったのと米軍が建築用石材として持ち去ってしまいましたので、現在見ることができるのは本丸のみとなっています。なお、このグスクは「東御廻り」(注2)の結びの巡礼地です。昭和62年に国の史跡文化財に指定されました。

琉球国由来記によると、神名を「アガル御イベツレル御イベ」といい、城内には琉球開闢(かいびゃく)七御嶽(注3)の一つとされ、琉球国王も参拝したといわれる「雨つづ天つぎ御嶽(雨つぎ……ともいいます)」があります。「雨つづ」とは「雨粒」でしょうか。ここでは干ばつのとき、国王自ら雨乞いの儀式を行ったという記録も残っています。太陽の神霊を祀っており、夏至には城門から朝日が射し込みます。自然石をくり抜いた本丸(一の郭)の城門へは、夏至の日には、朝日を受け止める「太陽の門」となります。 太陽の光は城内中央の御威部(おいべ、至誠所:注4)を照らします。城門の中には拝所が数か所あり、城跡全体が祈りの聖地のようです。

(注1)アマミキヨ…太陽の神が下界に「アマミキヨ ・シネリキヨ」の2神を送り、国造り、島造りを命じたとする琉球の神話。九州から奄美を経て沖縄に渡来した種族、つまり、アマミ(奄美)のキヨ(人)という説もあります。

(注2) 東御廻り…琉球王朝時代に、国王が創造神・アマミキヨが二ライカナイから渡来して住みついたと伝えられる霊地を巡拝する行事で、王国の繁栄と五穀豊穣を祈願する行事として始められたといいます。その後、民間へと広まっていったそうです。守礼門と首里城歓会門の中間にあり、現在は世界遺産になっている「園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)」で旅の安全を祈願してスタートし、そこから首里から見て太陽の昇る方(東方/あがりかた)、つまり現在の南城市佐敷、知念、玉城方面へと聖地は続いていきます。

(注3)琉球開闢七御嶽…アマミキヨによって造られた御嶽。以下、造られた順番。
  ・安須森御嶽(あすむぃうたき):国頭村辺土 ⇒ コチラから
  ・クバ御嶽:今帰仁村
  ・斎場御嶽(せーふぁうたき):南城市知念 ⇒ コチラから
  ・薮薩御嶽(やぶさつうたき):南城市玉城 ⇒ コチラから
  ・雨つづ天つぎ御嶽(あまつづてんつぎうたき):南城市玉城、玉城グスク内
  ・クボー御嶽(くぼーうたき):南城市知念(久高島)⇒ コチラから
  ・首里真玉森御嶽(しゅいまだまむいうたき):首里城内 ⇒ コチラから
このうち、"首里真玉森御嶽" は、沖縄戦と首里城改築工事による整備で失われ洞窟だけが残されています。名称の似ている "首里森御嶽(しゅいむいうたき)" は、首里城内の下之御庭(しちゃぬうなー)という場所に復元されています。クバ御嶽以外、現存する6ヶ所を、このサイトにUPしました。上の御嶽名にリンクしてあります。なお、上記の上から2ヶ所以外は、南部に集中しています。

(注4)御威部(おいべ、おんいべ)…奄美・沖縄地方で、ウタキとよばれる聖域の中で神が鎮座する場所をいいます。「いべ」ともいいます。

地図をご覧になる方はコチラから ⇒ 玉城グスク跡 玉城青少年の家の南に隣接しています。青少年の家の1本西の未舗装道を南へ。曲がるところの歩道上に矢印のついた道標もあります。駐車場もあります。右に向かう坂道があります。



◎このサイトでご紹介している「東御廻り」の史跡などです。(タイトルをクリックしてください)

・園比屋武御嶽 ・御殿山
・与那原親川 ・場天御嶽
・佐敷上グスク ・テダ御川
・斎場御嶽 ・知念グスク
・知念大川 ・久高島
・アイハンタ御嶽 ・藪薩御嶽
・浜川御嶽 ・ヤハラヅカサ
・受水・走水 ・仲村渠樋川
・ミントングスク ・玉城グスク

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