真玉森御嶽(まだまむいうたき)とクンダグスク





琉球王朝時代、首里城内には、10ヵ所の御嶽(うたき)があったことが知られていますが、そのうち4ヵ所の御嶽が京の内(城内で霊力の強い聖域)にあったと言われてます。京の内以外で場所が分かっているのは首里森御嶽(すいむいうたき)で、首里森御嶽だけが男子禁制ではない下之御庭(しちゃぬ うなー:広福門と奉神門の間の広場)にありました。 首里森御嶽は、神が造られた聖地であるとされ、国家の最重要な拝所でした(首里城の中に首里森御嶽を作ったのではなく、首里森御嶽が先にあり、首里城が後から建てられたそうです)。そして、もうひとつ重要な御嶽がありました。それが、今回ご紹介する首里森(すいむい)とならんで、首里城内の御嶽の中でもっとも神聖視されていた真玉森(まだまむい)御嶽です。

真玉森御嶽は、アマミキヨによって造られた琉球開闢七御嶽(りゅうきゅうかいびゃくななうたき:注1)のひとつで、ただでさえ霊力が集中している京の内のなかでも、最大のパワーが秘められた場所だといわれています。また、琉球王国が水不足に悩まされたときには、この洞窟で雨乞いの儀式が行われたそうです。

なお、ご参考までに首里城のHPには、真玉森御嶽のことを ただの洞窟として、次のように紹介しています。
「京の内の片隅に、洞窟があります。
確証はありませんが、この洞窟にまつわる話を紹介します。
琉球を最初に統一した尚巴志王統(第一尚氏)は、首里城でのクーデターにより滅亡します。
そのクーデターの際に、王妃と乳母は、世子を守ろうと城内の真玉森に逃げ隠れたが、見つかり、王妃、世子とも殺され、首里城の崖下に投げ捨てられた。と伝えられています。
その王妃たちが逃げ隠れた真玉森が、この洞窟ではないかと言われています。
また、城壁の外側には、クンダグスクという遺跡があり、第一尚氏最後の世子を葬った場所とも伝えられています。
京の内には、このような悲しい言い伝えもあり、神秘的な雰囲気が漂っています。
首里城ご来園の際には、ぜひ京の内もご見学くださいね。なお、洞窟内部とクンダグスクは立入禁止となっています。」
 

真玉森御嶽と思われる洞窟の前の柵

洞窟の横に置かれた香炉
下之御庭にある首里森御嶽 広福門と奉神門の間にある下之御庭。写真は百人御物参

クンダグスクについては、すでに、このサイトの天山陵(てぃんさんりょう)のページで、次のようにご紹介しています。
「1469年4月、第一尚氏七代王・尚徳の喜界島外征中のスキをついて、臣下の金丸(注2)の軍勢は首里城に襲い掛かりました。第一尚氏派の群臣は次々と虐殺され、金丸一派による王府乗っ取りは成功しました。その際、王妃と乳母は幼い王子を連れて城内の真玉森(まだまむい)に逃れましたが、兵士によって発見され一人残らず殺戮されました。その亡骸は、城の南西側崖から外に放り投げられました。そのとき、王妃のクンダ(腓−ふくらはぎ)が、木の枝に引っかかったそうです。それ以降、この場所をクンダグスクと呼ぶようになったと伝えられています(クンダグスクの項は、「琉球王国ぶらぶら散歩」おおきゆうこう著より)。ここでいう "グスク" は、城という意味ではないようです。その後、金丸は堂々と首里城に入り、尚円王と名乗り、ここに第二尚氏王統を開いたのです。」

王妃の亡骸を真玉森から城外に放り投げたというのなら、真玉森から遠くない京の内の城壁の外側のどこかにクンダグスクがあるのではないかと探してみました。ネットにも崖の途中に洞窟のような穴が開いているという情報がありましたので、真玉森の真下の外側を行ったり来たりしてみました。


するとグランドハイツという集合住宅の向かいに金網で入口は封鎖されていますが、大きな穴が見つかりました。ここがクンダグスクかどうかの確証はありませんが、首里城のHPにクンダグスクは立入禁止になっていると紹介していますので、ここかもしれません。上の写真は、その場所です。

(注1)琉球開闢七御嶽…アマミキヨによって造られた御嶽。以下、造られた順番。
  ・安須森御嶽(あすむぃうたき):国頭村辺土 ⇒ コチラから
  ・クバ御嶽:今帰仁村
  ・斎場御嶽(せーふぁうたき):南城市知念 ⇒ コチラから
  ・薮薩御嶽(やぶさつうたき):南城市玉城 ⇒ コチラから
  ・雨つづ天つぎ御嶽(あまつづてんつぎうたき):南城市玉城、玉城グスク内 ⇒ コチラから
  ・クボー御嶽(くぼーうたき):南城市知念(久高島)⇒ コチラから
  ・首里真玉森御嶽(しゅいまだまむいうたき):首里城内 ⇒ コチラから

(注2)金丸…尚泰久王、尚徳王らに仕えたが、クーデターを起こし尚円を名乗り、琉球国王となる。

地図をご覧になる方はコチラから ⇒ 真玉森御嶽 京の内の順路を外れたところにあります。


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