=東御廻り=

斎場御嶽(せーふぁうたき)


御嶽とは、南西諸島に広く分布している「聖地」の総称で、斎場御嶽は琉球開びゃく伝説(注1)にもあらわれる、琉球王国最高の聖地です。御嶽の中には六つのイビ(神域)がありますが、中でも大庫理・寄満・三庫理は、いずれも首里城内にある部屋と同じ名前をもっています。当時の首里城と斎場御嶽との深い関わりを示すものでしょう。

はるかなる琉球王国時代、国家的な祭事には聖なる白砂を「神の島」といわれる久高島から運び入れ、それを御嶽全体に敷きつめました。その中でも、最も大きな行事が、聞得大君(きこえおおぎみ(注2))の就任式である「御新下り(おあらおり)」でした。斎場御嶽は、琉球国王や聞得大君の聖地巡拝の行事を今に伝える「東御廻り」(あがりうまーい(注3))の参拝地として、現在も多くの人々から崇拝されています(斎場御嶽のHPより、(注)はサイトの管理人による追記)。



緑の館でビデオを見た後、ここから御嶽に入ります。


この地が、平成12年12月、世界遺産に登録されたことから脚光を浴び、登録前は年間3万人しかいなかった来訪者が、平成24年には43万人を越えるほどとなり、連日、観光バスか来るほどのスポットして人気を集めています(琉球新報)。このため来場者を規制するため、それまで無料だった入場料を徴収したり、駐車場を御嶽から離れたところに変更しましたが効果がありませんでした。この御嶽は、もともと国王でさえ中に入ることができない男子禁制の場所だったので、南城市では、平成27年度に男子禁制にするか、しないかを決定するという話でしたが、何も発表がありませんでした。そのため、同28年10月に南城市の観光協会に問い合わせしましたが、未だに結論が出ていないという返事でした。

また、琉球に詳しい仲村清司氏によれば、斎場御嶽で写真を撮ろうとすると、今まで動いていたのに急にシャッターが切れなくなったとか、露出が合わなくなったり、画面が暗くなって被写体が見えなくなるというトラブルが起こるそうです。プロのカメラマンが撮っても、フィルムの撮影順序が違っていたとか、ウタキの写真だけが真っ白で何も映っていないこともあったそうです(仲村清司著「ほんとうは怖い沖縄」より)。斎場御嶽は、名前からして最高位の御嶽ですから、最大のパワースポットなのかもしれません。というわけで、ここを最初に訪れたのは平成26年4月21日ですが、写真の撮影はしなかったので、2年半後の平成28年10月5日、再度訪問し写真を撮影してきました。無事、シャッターも切れ、しっかり写っていました。



ここは大庫理(うふぐーい)です。大広間という意味で祈りの場です。
神女たちが聞得大君を祝福して、琉球王国の繁栄を祈りました。
ここは寄満(ゆいんち)といいます。王府の言葉で台所を意味します。国王のために食事を作る厨房ですが、
貿易の盛んであった当時の琉球では、世界中から交易品の集まる「豊穣の満ち満ちた所」とも解釈されています。
シキヨダユルとアマダユルの壺です。右の2本の鍾乳石から滴り落ちる「聖なる水」を壺で受けています。この聖水も拝所です。
ここに賽銭を置かないでください。神様にはお金は必要ありませんので、置かれたお金も可哀想です。 (--、)
三角形の空間の奥が三庫理(さんぐーい)で拝所になっています。
人という字に似ています。左側の岩と右側の岩がバランスを取っています。
三庫理にある香炉です。
歴代の聞得大君の就任儀式に使われたものです。
腰掛けたり、踏んだりしてはいけません。
御嶽に入る御門口にある6つの香炉です。
ここが本当の御嶽の入口です。
御嶽内にある拝所の分身とされています。
三庫理から久高島を遥拝することができます。
地図を見ると、斎場御嶽は首里城と久高島の中間にあり、その三か所を線で結ぶと一直線になります。


(注1)琉球開闢七御嶽…アマミキヨによって造られた御嶽。以下、造られた順番。
  ・安須森御嶽(あすむぃうたき):国頭村辺土 ⇒ コチラから
  ・クバ御嶽:今帰仁村
  ・斎場御嶽(せーふぁうたき):南城市知念
  ・薮薩御嶽(やぶさつうたき):南城市玉城 ⇒ コチラから
  ・雨つづ天つぎ御嶽(あまつづてんつぎうたき):南城市玉城、玉城グスク内 ⇒ コチラから
  ・クボー御嶽(くぼーうたき):南城市知念(久高島)⇒ コチラから
  ・首里真玉森御嶽(しゅいまだまむいうたき):首里城内 ⇒ コチラから
このうち、"首里真玉森御嶽" は、沖縄戦と首里城改築工事による整備で失われ洞窟だけが残されています。名称の似ている "首里森御嶽(しゅいむいうたき)" は、首里城内の下之御庭(しちゃぬうなー)という場所に復元されています。クバ御嶽以外、現存する6ヶ所を、このサイトにUPしました。上の御嶽名にリンクしてあります。なお、上記の上から2ヶ所以外は、南部に集中しています。

(注2) 聞得大君…琉球王国の最高位の女神官。王女または王の姉妹が就任しました。国王を守護する「姉妹神」(おなり神)として、国王の長寿・国の繁栄・五穀豊穣・航海安全を祈願しました。

(注3) 東御廻り…琉球王朝時代に、国王が創造神・アマミキヨが二ライカナイから渡来して住みついたと伝えられる霊地を巡拝する行事で、王国の繁栄と五穀豊穣を祈願する行事として始められたといいます。その後、民間へと広まっていったそうです。守礼門と首里城歓会門の中間にあり、現在は世界遺産になっている「園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)」で旅の安全を祈願してスタートし、そこから首里から見て太陽の昇る方(東方/あがりかた)、つまり現在の南城市佐敷、知念、玉城方面へと聖地は続いていきます。

地図をご覧になる方はコチラから ⇒斎場御嶽 なお、駐車場は、がんじゅう駅・南城と知念岬にあります。駐車場は無料です。入場チケットは、駐車場前の南城市地域物産館で購入します。御嶽の入口では買えません。また、年に数回お休みの日がありますので注意してください。毎年、旧暦5月1日~3日、旧暦10月1日~3日が休息日です。また平成27年は6月16日(火)〜18日(木)も臨時の休息日でした。出かける前にHPなどで確認しましょう。



◎このサイトでご紹介している「東御廻り」の史跡などです。(タイトルをクリックしてください)

・園比屋武御嶽 ・御殿山
・与那原親川 ・場天御嶽
・佐敷上グスク ・テダ御川
・斎場御嶽 ・知念グスク
・知念大川 ・久高島
・アイハンタ御嶽 ・藪薩御嶽
・浜川御嶽 ・ヤハラヅカサ
・受水・走水 ・仲村渠樋川
・ミントングスク ・玉城グスク

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