犬名河(インナガー)は、うるま市の海中道路の一番奥の伊計島にあります。
今から数百年も昔、農夫が畑仕事をしていると、犬がずぶぬれになって身震いしながら海岸から上がってくるので、不思議に思ってついていくと、犬が湧き出る泉で水浴びをしていたそうです。以来、犬名河と呼ばれ、伊計島唯一の水源地として人々の生活を支えてきました。
しかし、部落からの道程が遠く、150余の石段の上り下りは、住民にとってかなりの労働でした。
しかし、1982年4月の伊計大橋の開通で上水道が導入されるまで、住民の飲料水、生活用水として使われていました。当時のことを詠んだ歌が残っています。
伊計人の嫁や ない欲しゃやあしが 犬名河の水の 汲みぬあぐで
(伊計人の嫁になりたいのだが、犬名河の水汲みがあるからなぁ)
その石段は今でも残っており、犬名河を見学することはできますが、日を遮るものがないので、夏場は大量に汗をかきます。草の生い茂った石段なので、足元が見えにくく、行かれる方は十分、お気を付けください。普段は、建物入口の鉄格子のカギがかかっているのかもしれません。内部を見学されたい方は、伊計自治会までご連絡ください。電話番号が案内板に記されています。私が行ったときは、カギが開いていましたので、中を見学させていただきました。きれいな水が、大量に湧いていました。
沖縄県内には、犬が発見したという湧水が他にもあり、八重瀬町具志頭(ぐしちゃん)にある屋富祖井(ヤブガー)や糸満市大里の嘉手志川(カデシガー)にも、同様の伝説が残っています。犬名河は、平成7年6月14日に記念物 (名勝)に指定されました。
石碑には次のとおり記されています。
「犬名河」由来記
「犬名河」は伊計部落より北西約一粁の処から更に急勾配の石段を百五十段も下りた崖下の海岸近くにあり、今から数百年も昔、農夫が畑仕事をしていると、犬がずぶぬれになって身震いしながら海岸から上がって来る。
不思議に思って從いて行くと犬が湧き出る泉で水浴びをしていたという。
爾来「犬名河」と呼ばれ伊計島唯一の水源地として人々の生活を変えて来た。
しかし、部落からの道程が遠く百五十余の石段の上り下りは住民にとってかなりの労働だった。
伊計人の嫁や ない欲しゃやあしが 犬名河の水の 汲みぬあぐで
という当時の娘達の心情を吐露した名歌が残されている。
この水汲みの労苦を救わんとして、伊計島の先人達は二ヶ年の才月と壱万弐千五百円の工費をかけて昭和十年十二月部落内に簡易水道を敷設して一気に水事情を緩和させた。
戦後米国沿岸警備隊の駐留に伴い場水機の増力、貯水タンクの造設、水源地の拡張等により「犬名河」の水事情は更に改善された。
時代は移り、昭和五十七年四月伊計大橋の開通と共に上水道が導入されることとなって「犬名河」の住民に対する生活用水としての使命は農業用水として更に新しい氏名を担って伊計住民の生活と深く関り続けて行くことでありましょう。
昭和五十九年十二月
このサイトでご紹介している犬が見つけたカーは、他にも
・糸満市大里の嘉手志川 ⇒ コチラから。
・八重瀬町の屋冨祖井 ⇒ コチラから。
地図をご覧になる方はコチラから ⇒ 犬名河 行き方は、宮城島から伊計島に入り、ホテル方面に向かうと「犬名河400m」と書かれた道標があります。それに従い、左折し、行き止まりまで行くと、インナガー入口の駐車場に着きます。そこから石段を下ります。
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