藪地島(やぶちじま:うるま市)



歴史の空白を埋める発見があった藪地島の藪地洞穴

この島へは、沖縄に来て間もないころ、地元の方の案内でワイトゥイ(注1)に行ったとき、案内してもらいました。昔は人が住んでいましたが、台風の被害がひどくて、住民が皆、本島に移ったと聞きました 。今は、住んでいる人はいないが畑があり、通いで農業している人がいるそうですので、無人島と言っていいのか、孤島と言うべきでしょうか。それとも橋が架かっているので、単なる離島なのでしょうか。

本島とは藪地大橋で結ばれていますが、橋ができたのは1985年だそうですから、まだ新しい橋です。島の南端のうっそうと緑が茂る先に藪地洞穴があります。石灰石でできた鍾乳洞で、入り口には拝所があり、地元住民は祖先発祥の地としてお参りに訪れるそうです。中からは6,000年から7,000年前と思われる土器が発見されましたが、2021年11月、うるま市役所から約1万〜9千年前の貝塚時代の人骨が発見されたと発表がありました。発見された人骨は頭蓋骨の一部で、これまで県内で発見された貝塚時代の人骨では最も古いものだそうです。県内では1万4千年以前の旧石器時代と7千年以前の貝塚時代の間で、人骨は発見されていません。「空白時代」を埋める貴重な発見といえるでしょう。

沖縄諸島では、旧石器時代の後の縄文時代から11世紀ごろまでを「貝塚時代」と呼んでいます。沖縄本島では、約2万2千年前の「港川人」が、旧石器時代としては、日本で初めて見つかった完全な形に近い人骨として知られています。しかし、これまで貝塚時代では、名護市大堂原(うふどうばる)貝塚で発見された約7千年前の人骨が最古のものでした。





貝塚時代の人骨が発見されたニュース(OTVより 動画再生マークがついていますが、動画ではありません)

新聞報道によると、地上60〜70センチの深さから発掘された人骨片は2点で、どちらも約10センチ程度の大きさ。部位は前頭骨の部分で、眉間が平坦で、なだらかなアーチを描いてるため、女性と推定され、また、前頭骨と頭頂骨の間の「冠状縫合」の縫合線が現存することから、成年(16〜20歳)から壮年(40歳未満)の年齢と推定されています。県内で発見されている貝塚時代の人骨から見られる「眼窩(がんか)が四角い」という特徴も備えているそうです。今回発見された人骨はうるま市の「あまわりパーク」で展示されるほか、県立博物館・美術館でも公開される予定です。

島の海は泳げますが、ライフセーバーもおらず、クラゲ防止ネットもありません。もちろんシャワーもありません。浜は石がゴロゴロ、貝殻の破片も散乱していますので、履物が必要です。 案内してくれた方の話では、この島はハブが多いことで有名なので、道以外のところへは安易に立ち入らない方がいいそうです。また島南岸にはカサノリ(海藻の一種)が密集して生息していると教えてくれました。

私が行ったのはかなり前なので、今回人骨が発見されたニュースを聞いて思い出しました。写真も撮っていないので、うるま市のサイトと沖縄テレビのニュース画像からお借りしました。

(注1)ワイトゥイ… ⇒ コチラから



地図をご覧になる方はコチラから ⇒ 藪地島  


  ナビゲーションはトップページにあります。

   TOPページへ

Copyright © 2015 ハイホーの沖縄散歩 
logo