沖縄最大級・富里のヒンプン


富里のヒンプン


本島の南城市玉城富里(たまぐすく ふさと)の民家に沖縄最大級のヒンプンがあります。

ヒンプンとは、門と家との間に設けられる「目隠し」をいいます。中国語の屏風(ピンプン)に由来するといわれています。「魔除け」という役割もありますが、通りからの目隠しと、南風が屋敷へ抜けていくように設計されているといいます。魔除けの役割というのは、外から魔者が入ってくるのを防ぐためです。沖縄の魔物は直進しかできません。ヒンプンがあると魔物を跳ね返してしまいますので、魔物は家に入ることができません。沖縄の路地に「石敢當(いしがんとう)」と書かれた石の板をよく見かけますが、同じ役目も果たしています。

ヒンプンは、材料も形もいろいろのものがあって、瓦石垣、石積み、一枚石、竹垣(チニブ)、生垣、板屏などがありますが、上の写真のヒンプンは、幅3.5メートルという沖縄最大級の一枚石です(写真の右の部分です。左の部分を繋いであります。左右併せると5.5メートルあります。私のカメラでは正面からの写真が撮れませんでしたので、タイムス住宅新聞に掲載されたものを掲載しました)。運ぶ際は、路地が回れないので、ほかの家の石垣を取り壊して運んだそうです。三つの集落の男が総出で竹縄を編んで引っ張り、鐘や太鼓を打ち鳴らして指揮を鼓舞したという記録が残っています。なお、取り壊した ほかの家の石垣は、後で積みなおしたそうです。石の代金がいくらだったのか分かりませんが、人夫賃と補修代を併せると、たいへんな費用が掛かったものと思われます。

家屋は戦災で焼失しましたので建て直しましたが、ヒンプンは残りました。現在、建物は空き家になっていますが、つい最近までは、レカリカリカというネパール料理の古民家食堂になっていました。なお、富里集落は石畳の道になっています。集落の人や観光客には誰にも会いませんでしたが、この道を歩くだけでも ここまで来た価値があります。



富里のヒンプン
ヒンプン全景、手前の板はネパール料理店休業のお知らせが貼ってあった
富里の石畳
富里集落には石畳の道が続き、民家は石積みの塀が多い

地図をご覧になる方はコチラから ⇒ 富里のヒンプン 


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