ガジャンビラ(那覇市)


ガジャンビラというのは地名です。島言葉で「蚊」のことを「ガジャン」と言います。漢字で書くと「蚊」です。「ビラ」は「坂」のことですから「ガジャンビラ」は「蚊坂」です。蚊の坂という変わった地名は、那覇港の南西、市街地から那覇空港に行く途中にあります。この名前の由来には、こんな昔話があります。

「昔々、琉球には蚊はいなかったのだよ。
ところが、中国に渡って初めて蚊を見たある琉球人が、珍しかったので、たくさん捕まえて土産として持ち帰ってきたのだと。
ところが自分の村への帰り道、坂の途中で転んで大切なお土産を逃がしてしまったのだ。
そのせいで沖縄の島全体に蚊が広まったんだとさ。
それから、転んだ坂を「ガジャンビラ」というようになったそうじゃ。」
これが本当なら、笑い話どころか、この上とない迷惑な話である。この迷惑な人のおかげで、沖縄には、今では、一年中、蚊がいる。(^-^)

昔話の舞台になった蚊坂は、明治10年(1877)刊行の『沖縄志』《伊地知貞馨(いじちさだか)著》の那覇港図には、その名がありますから、少なくとも明治の時代にはあった地名です。また、今はありませんが、戦前の糸満馬車軌道の始発だった那覇市垣花駅の次が「蚊坂駅」でした。坂の両側や付近の丘陵には松が生い茂り、また、坂の頂上からの眺望はすばらしく、眼下に見下ろす那覇・垣花の街並みは、絵画や絵ハガキの題材にもなったと、那覇市歴史博物館の史料にもあります。

その近くには「ガジャンビラ公園」、つまり「蚊坂公園」があります。おもしろい名前なので、どんなところなのか行ってみました。写真左は、ガジャンビラ公園。右は由緒書き(内容は、このページに書いたことと同じようなことが書いてあります)。



由緒書き 公園


今は、道路改修で道が付け変わってしまい、元々のガジャンビラがどこだったか、はっきりとは分からなくなってしまったそうです。

沖縄には我謝さんという名前があります。「ガジャ」と読みます。名字由来Netによれば、沖縄に1,200人ほど居られるそうです。中頭郡西原町には「我謝」という地名があります。ここがルーツのようなので蚊とは関係ないみたいですが、県博物館館長の安里進先生の地名研究では、坂の名は「我謝の坂(ガジャヌビラ)」か転訛したものだろうと述べておられます。

なお、ガジャンビラに行ったときには、ガジャンビラでもガジャンビラ公園でも蚊は見かけませんでした。

地図をご覧になる方はコチラから ⇒ ガジャンビラ  ガジャンビラは、赤ポイントのパイナップルハウスからコンフォートシティビューに至る弧を部分(旧道)をいいます。公園は、その南東にあります。

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